今回は、Javaアプリケーションの配布とデプロイメントに欠かせない3つの重要なファイル形式について詳しく見ていきたいと思います。Java アプリケーションのパッケージング形式としてJAR、WAR、EARという3つあります。これらの違いと使用場面を理解することで、プロジェクトに最適な形式を選択できるようになります。
JAR (Java ARchive)
JAR は最も基本的で汎用性の高いJavaのパッケージング形式です。
- 構成
- Javaクラスファイル、関連するメタデータ、リソースファイル(テキスト、画像など)をまとめたものです。
- 使用場面
- スタンドアローンアプリケーション、ライブラリ、コンポーネントの配布に適しています。
- 特徴
- 圧縮されているため、ディスク容量とダウンロード時間を節約できます。
- JARファイル内の
META-INF/MANIFEST.MFファイルにメインクラスを指定することで、実行可能JARとして動作させることができます。
java -jar myapplication.jar
スタンドアローンアプリケーションとは、他のソフトウェアやシステムに依存せずに、単独で動作するアプリケーションのことです。
WAR (Web Application aRchive)
WARは、Webアプリケーション専用のパッケージング形式です。
- 構成
- サーブレット、JSP、HTMLファイル、JavaScriptファイル、その他のリソースを含みます。
- 使用場面
- JavaのWebアプリケーションをWebサーバー(例:Tomcat、Jetty)にデプロイする際に使用します。
- 特徴
WEB-INFディレクトリには、Webアプリケーションの設定ファイル(web.xml)が含まれます。- アプリケーションサーバーにデプロイするだけで、Webアプリケーションとして実行できます。
EAR (Enterprise ARchive)
EARは、エンタープライズアプリケーション用の包括的なパッケージング形式です。
- 構成
- 複数のモジュール(JAR、WAR、その他のリソースファイル)を1つのファイルにまとめたものです。
- 使用場面
- 大規模な企業向けアプリケーションで、複数のモジュールを同時にデプロイする必要がある場合に使用します。
- 特徴
- JavaEE(現在のJakarta EE)アプリケーションサーバーにデプロイされます。
META-INF/application.xmlファイルに、含まれるモジュールとその設定が記述されています。
まとめ
- JAR
- 汎用的な用途に。ライブラリや小規模アプリケーションに最適。
- WAR
- Webアプリケーション専用。サーブレットコンテナにデプロイ。
- EAR
- 大規模エンタープライズアプリケーション用。複数のJARやWARを含む。
サーブレットコンテナとは、JavaのWebアプリケーションを実行するための環境を提供するソフトウェアです。Java Servlet APIの実装を提供し、サーブレットのライフサイクルを管理します。
プロジェクトの規模と要件に応じて、適切なパッケージング形式を選択することが重要です。小規模なライブラリならJAR、単一のWebアプリケーションならWAR、複雑な企業システムならEARが適しているでしょう。
