今回は、システムセキュリティにおいて重要な課題の一つである「改ざん」についてメモしていきたいと思います。
改ざんとは
改ざんとは、権限のない第三者がデータを不正に変更することを指します。これは、データの整合性を脅かし、システムの信頼性を損なう重大な脅威です。
改ざんの影響
改ざんは様々な種類のデータやシステムを対象に行われる可能性があり、大事な顧客情報やネットワーク通信データ、コンテンツなどあるので、以下の影響があります。
- データの信頼性低下
- セキュリティ侵害
- 財務的損失
- 法的問題
改ざん防止の主な方法
- ハッシュ関数の使用
- デジタル署名
- 暗号化
- アクセス制御
ハッシュ関数を使用した改ざん検知
ハッシュ関数は、データの整合性を確認するための強力なツールです。この方法では、元のデータから固定長の一意な文字列(ハッシュ)を生成し、後でデータが変更されていないかを確認するために使用します。
基本的な仕組み
- 元のデータからハッシュを生成し、安全な場所に保存します。(実際はデーターベースなど)
- 後日、データの整合性を確認する際に、現在のデータからハッシュを再計算します。
- 新しく計算したハッシュと保存していたハッシュを比較します。
- 両者が一致すれば、データは改ざんされていないと判断できます。
import java.security.MessageDigest;
import java.nio.charset.StandardCharsets;
public class TamperDetection {
// データからハッシュを計算するメソッド
public static String calculateHash(String data) throws Exception {
MessageDigest digest = MessageDigest.getInstance("SHA-256");
byte[] encodedhash = digest.digest(
data.getBytes(StandardCharsets.UTF_8));
return bytesToHex(encodedhash);
}
// バイト配列を16進数文字列に変換するヘルパーメソッド
private static String bytesToHex(byte[] hash) {
StringBuilder hexString = new StringBuilder(2 * hash.length);
for (byte b : hash) {
String hex = Integer.toHexString(0xff & b);
if (hex.length() == 1) {
hexString.append('0');
}
hexString.append(hex);
}
return hexString.toString();
}
// データが改ざんされたかどうかを確認するメソッド
public static boolean isDataTampered(String originalData, String storedHash) throws Exception {
String currentHash = calculateHash(originalData);
return !currentHash.equals(storedHash);
}
public static void main(String[] args) throws Exception {
String data = "This is sensitive data";
String originalHash = calculateHash(data);
// データが改ざんされていない場合
System.out.println("Not tampered: " + !isDataTampered(data, originalHash));
// データが改ざんされた場合
String tamperedData = "This is tampered data";
System.out.println("Tampered: " + isDataTampered(tamperedData, originalHash));
}
}
calculateHashメソッドMessageDigest.getInstance("SHA-256")で SHA-256 ハッシュアルゴリズムを使用します。- データを UTF-8 エンコーディングでバイト配列に変換し、ハッシュを計算します。
- 計算されたハッシュを16進数文字列に変換して返します。
bytesToHexメソッド- バイト配列を16進数文字列に変換するヘルパーメソッドです。
isDataTamperedメソッド- 現在のデータからハッシュを計算し、保存されていたハッシュと比較します。
- ハッシュが一致しない場合、データが改ざんされたと判断します。
mainメソッド- オリジナルデータのハッシュを計算し、保存します。
- 改ざんされていないデータと改ざんされたデータで検証を行い、結果を出力します。
センシティブなデータの場合、ハッシュ計算時にソルト(ランダムな文字列)を追加することで、さらにセキュリティを高めることができます。
応用例
- ファイルの整合性チェック
- ファイルのハッシュを計算し、定期的に検証することで、ファイルの改ざんを検知できます。
- パスワード保存
- ユーザーのパスワードをハッシュ化して保存することで、平文でのパスワード保存を避けられます。
- デジタル署名
- ハッシュと公開鍵暗号を組み合わせて、データの改ざんと送信元の認証を同時に行うことができます。
改ざん防止の ベストプラクティス
- 定期的なデータ整合性チェック
- 多層防御の採用
- ログの暗号化と保護
- 定期的なセキュリティ監査
- 従業員のセキュリティ教育
まとめ
データ改ざんは深刻なセキュリティ脅威ですが、適切な技術とプラクティスを採用することで、そのリスクを大幅に軽減できます。ハッシュ関数やデジタル署名などの暗号技術を活用し、常にセキュリティ意識を高く保つことが重要かなーと思いました。
